のんびり沖縄らしい時間の体験、水牛車
「おきなわじかん」とは別名、ウチナータイム 。沖縄県に存在する、日本本土とは異なる独特の時間感覚のことです。
この、のんびりした「おきなわじかん」を過ごしたい、という方も多いのではないでしょうか。
のんびりとした沖縄の島らしい時間を体験できる水牛車について紹介します。
沖縄の島に行って人気なのは、水牛の引く車に乗る体験。
これ以上ののんびりとした乗り物はあるだろうかと思います。
時に勝手に止まり、勝手に気の向く方に行きそうになり、
島唄が聴こえはじめると、客と一緒に聞き惚れてまた止まる(それとも休憩しているだけ!?)
降りる頃には普段の時間の流れから解き放たれて、すっかり島時間に染まってしまう、恐るべし水牛パワーです。
水が大好きな水牛は海水が多い時間が嬉しそうだ
水牛とおじぃの豊かな関係
水牛がのんびりとしているのは、おじぃの水牛に対する愛情度なのではないかと思っています。(あくまでも私の持論です)
水牛を気遣うおじぃの姿
そう思う理由は、私が十数年前に初めて添乗員として西表島に行ったときのこと。
西表島から由布島に渡るときに、水牛車に乗るのがこの島旅行のハイライト。
乗り場で水牛車のスタッフの方に「今日は1番と4番と12番の水牛車です。1番は10名定員、4番は16名定員、、」と乗る水牛車と定員を知らされます。私は、お仲間同士の参加者が別々の水牛車にならないように、お客様をご案内していました。
初めての添乗で勝手がわからなかった私は、1番の車から定員いっぱいにご案内していきました。
すると1番の水牛車に乗っているおじぃに「添乗員さん!そんないっぱいに乗せたらうちの水牛がかわいそう!!」とお叱りの言葉をいただきました。
由布島に渡る最中も「この子は私と同じもうおじぃなんだから、そんなに働かせないで」と厳しくおっしゃっていました。
それ以来、私は各水牛車の割り振りを定員のマイナス2~3で計算して、水牛に負担がかかりすぎないように考えるようになりました。
水牛の大きさや年齢により定員数が異なります
またこんなこともありました。
水牛車のスタッフの方が「三郎(水牛の名前)に、この後もう一往復お願いします。」とおじぃにお願いすると、
「なーにいってるかー。三郎は今日何往復したと思う。今は無理に決まってる」
と水牛は涼しい顔をしているが、おじぃは顔を真っ赤にして怒っていたのでした。
水牛に無理をさせないように、厳しいおじぃの一面を何度も見たのでした。
急がず焦らず、水牛に任せる島の時間
確かにおじぃと水牛の関係はツーとカーなのか、「行くよー」と言えば動き出すし、「そっちじゃないよー」といえば軌道修正する。手綱もほとんど使わない。
水牛と乗り手の方は信頼関係で繋がっているパートナー
手綱も使わない信頼関係は、おじぃが自分の言い分だけを通さないからだろうか。おじぃは水牛が止まっても、「動きなさい」とは言わないのです。
水牛がピタリととまってしまった時は、おじぃはおもむろに車の上に格納してある三線を取り出して島唄を唄いだします。
唄が終わる頃に水牛は思い出したように歩きだし、無事に西表島に戻っていきます。
のんびり水牛車に乗って聞く三線と島唄は感慨深い
沖縄の島々と海をみながら、水牛に島唄+三線というセットは何とも言い表せない良さがあります。
島人(しまんちゅ)ではなくても心にしみる、感動的なシーン。
何回沖縄に行ってもそう思う、是非沖縄で体験していただきたい事のひとつです。
引き継がれる水牛との関係
今ではおじぃが乗る水牛車も少なくなり、若い女性や男性が水牛車に乗ることも多くなってきました。
けれど、おじぃのパッションは引き継がれ、どの乗り手さんも同じように水牛と豊かで強い信頼関係で繋がっているのを感じます。
もちろん若い方が担当されている水牛車でも、島唄と三線も聴くことができます。
私は今でも水牛車をみると乗っているのは一体どんな水牛愛溢れる乗り手さんなのか、思わず顔を覗いてしまいます。
みなさんもぜひ沖縄で水牛車を体験される時は、乗り手と水牛の関係にも注目してみてください。
追記
本州から沖縄に旅行に行く私達にとっては、あまり大差のないように思えてしまいますが、「牛」ではなく「水牛」なのです。
おじいに「今日乗った牛は、、、」などと言おうものなら「牛でない、水牛だ!」と怒られてしまうのでご注意ください。