神の島と呼ばれる 「宮島」の八つの不思議 ~なぜ人は厳島神社に行きたくなるのか~
神の島とも呼ばれ国内外から人気のある宮島、嚴島神社。
なぜこれほどに人気があるのか。
単純に『海に建つ神殿』だけではない、計算され設計された神社と、神の島ゆえの掟、、。ミステリアスな島を八つの不思議と共に紐解いていきたいと思います。
写真提供:広島県
目次
- 謎1:島全体がある形にみえる
- 謎2:宮島にないものとは
- 謎3:宮島の灯篭の数の秘密
- 謎4:嚴島神社にはある法則が
- 謎5:大鳥居の両脇にある月と太陽の印の理由
- 謎6:大鳥居の中に仕込まれた石の謎
- 謎7:弥山の七不思議
- 謎8(おまけ):宮島のトイレの扉の謎
謎1:島全体がある形に見える
神の島と呼ばれる理由の一つがここにありました
宮島を本州側から見た様子。まるで観音様が横たわっているような姿に見えませんでしょうか。
宮島は島全体が信仰の対象で、古代から弥山とその周辺の山容に霊気が感じられるとされ、地元の人々が自然崇拝していたことにはじまります。嚴島神社は、593年に創建されました。806年に、弘法大師空海が、島からの霊気を感じたことから弥山に御堂を建て、真言密教の修験道場となりました。山岳信仰も相まって平安時代から江戸時代にかけて多くの方が訪れていました。初代内閣総理大臣の伊藤博文公も信仰厚く、弥山に何度も訪れています。
その際立ち寄った茶店でお茶を出してくれた女の子の手をみて思わず「食べてしまいたいくらい可愛い、もみじのような手」と言ったのを店主が聞いていたことから「もみじの形をした食べ物」=「もみじ饅頭」が作られたんだとか。
謎2:宮島にないものとは
それはお墓です。
神聖な神様の土地にお墓はつくってはいけないとされ、お墓参りには対岸の本州に行くことになります。
また出産も島内ではできず、昔は臨月になると船で対岸に渡り、出産後100日を過ぎてから島に戻ってくる決まりになっていました。(今は臨月から100日までという縛りはなくなったようですが)
神域のため生を受けるとき、終えるときは少々寂しい気もしますがこの地を離れるということになりますね。
同じ理由で基本的には畑も耕してはいけないことになっています。(現在は自然農作などで作物を作っている農園もあります。)
謎3:宮島の灯籠の数
島内で泊まると嚴島神社の本殿と大鳥居のライトアップを見に行くことができます。
夜の散策は宿泊したものの醍醐味で、周辺の灯籠にも明かりがつき幻想的です。
この参道の灯籠の明かり、全部でいくつあるかというと、108つです。
108、どこかで聞いたことのある数字なのでは、、と考えると除夜の鐘と一緒。つまり人間の煩悩の数を表しています。
写真提供:広島県
謎4:嚴島神社の法則
嚴島神社自体も八という数にこだわってつくられており、大鳥居から本殿までは八八間、柱の間は八尺、本殿の床板は、1間に八枚敷いてあります。この床板には釘が使われておらず、板の隙間は少し空いています。この理由は大潮でも社殿が浮いて流されるのを避けるためです。
潮の満ち引きをよく考えて作られた設計と言えます。
ちなみに世界遺産に登録されたのは平成八年。これは社殿の数とは関係なさそうですが、何か良い縁を感じます。
写真提供:広島県
謎5:大鳥居にある月と太陽の印の意味
西側には月の印が 写真提供:広島県
大鳥居をじっくり観察すると色々なことがわかってきます。
この鳥居は四方位を表しており、陰陽道との関わりが深いこともうかがえます。
東は太陽 写真提供:広島県
東側の錺金具は太陽の印、西側の錺金具は月の印です。大鳥居だけではなく、灯籠もこの太陽・月マークがかたどられており、同じように東に太陽、西に月となっています。
また大鳥居の沖側(北)の額は「嚴嶋神社」、御本社側(南側)は「伊都岐嶋神社(いつきしまじんじゃ)」と記されています。(伊都岐嶋大明神を祀っていこることから、昔は伊都岐嶋神社となっていたのだとか)
謎6:大鳥居の屋根の部分に入っている石の謎
写真提供:広島県
大鳥居は杭などを使わず、その木自体の重みだけで建っています。
ただそれだけではなく、屋根の下の部分が空洞になっておりそこに石が入っており支えています。
かつてはその石の数は276あり、ただの重しの役割だけではありませんでした。
石の一つ一つに一文字づつ『般若心経』がかいてあったそうです。(※現在はありません)
それで276なんですね。鳥居一つに陰陽道と、般若心経、、。神仏習合の歴史がわかります。
謎7:弥山七不思議
写真提供:一般社団法人広島県観光連盟 くぐり岩を抜けた先に弥山の山頂があります
弥山には七不思議があり、事前に知っていると訪れる際に面白いです。
(弥山へは足場の悪いところも多いのです。事前に準備をしてお出かけください。)
①消えずの霊火
弘法大師が求聞持ぐもんじの修行をした時の護摩の火が、今でも途絶えることなく燃え続けています。この火は、広島の平和公園の「平和のともしび」の種火にもなっています。この火で沸かした霊水は万病に効くと云われています。
消えずの火がある霊火堂
②干満岩
岩の穴にある、水が潮の満ち引きにあわせ増減するそうです。
海が満潮のときには水が多く、干潮になったら水が減るようです。弥山の山頂付近にありながらもその水はしょっぱいそうで、その理由が現在でもわかっていない不思議な岩です。
③曼陀羅岩
巨大な岩に「三世諸仏天照大神宮正八幡三所三千七百余神云々」とかかれています。
弘法大師が梵字(サンスクリット語)と真字(漢字)で彫ったと言われています。
④錫杖の梅
霊火堂の横に生える梅で弘法大師が立てかけた錫杖が根をはったといわれています。
⑤竜灯の杉
旧正月初旬の夜になると宮島周辺の海面に正体不明の灯りが現れたそうです。この灯りを龍燈と呼び、この龍燈がよく見える弥山の大杉は「龍燈の杉」と呼ばれていました。この杉現在は枯れてしまって見ることができません。
⑥時雨桜
晴れたの日でも時雨のように露が落ち、地面にも雨が降ったように濡れる不思議な桜があったそう。現在は伐採され、見ることができません。
⑦拍子木の音
深夜に人のいない場所から拍子木の音がするそうです。
弥山には天狗が住んでいるといわれており、その音だろうと言い伝えられてきました。
音が鳴っている間はうっかり外にでてしまうとたたりがあると恐れられていたそうです。
弥山山頂
謎8:宮島のトイレの扉(おまけ)
宮島には公衆トイレがいくつか設置されていますが、その入り口にほっこりした謎があります。
入り口には戸がついており、押しては入れず引いて中に入る戸となっています。その名も「鹿戸」。
島内にいる沢山の鹿がトイレに入ってトイレットペーパーを食べないようにする、宮島ならではの工夫です。
宮島の八つの不思議いかがでしたか?
昔から人々を魅了し続ける宮島、嚴島神社。
まだまだ色々な言い伝えや歴史、名所が残る場所です。
豊臣秀吉が命じ、未完成のままの豊国神社や弘法大師の開創された大聖院などなど1日でも足りないほどの見応えです。
宮島へ出掛ける際には嚴島神社はもちろんのこと、弥山や他のスポットへも足を運んでみてはいかがでしょうか。