沖縄のソウルフードといえば
沖縄のソウルフードと言ってまず頭に思い浮かぶのは『おば―のてんぷら』。
野菜に衣をつけてあげるてんぷらはもちろん、ドラマの影響などで有名になった「サーターアンダギー」も沖縄のてんぷらの部類にはいります。
沖縄本島ではサーター(砂糖)アンダー(油)ギ―(揚げる)ですが、石垣島などではサタ(砂糖)ハンピン(てんぷら)というようにドーナツというよりはてんぷらという方が正しいのかなと思わせる語源となっています。
チューリップが花開くようにパカッとひらいたサーターアンダギーは美味しい印
「沖縄のてんぷら」は私達の天ぷらとは違う味
沖縄のおばーが揚げるサーターアンダギーも、もずくのてんぷらも絶品!
公設市場や店先で働いている方を見るとつい「このおばーの揚げるてんぷらは美味しそうだな」と思ってしまいます。
ところで沖縄のてんぷらは私達のそれとは全く異なる「てんぷら」で、
本州の天ぷらはサクサクの薄い衣ですが、沖縄はフリッターような生地でボリューム満天!
具はモズク、ターンム(田芋)、紅芋、白身魚などの沖縄らしい食材がどーんと入ります。
市場に並ぶボリューム満点のてんぷら
おばーのつくるてんぷらの材料は愛情たっぷりおせっかい少々!?
ある時、ガイドさんから「アダンの芽は食べられる」(食べ物があまりなかった時は貴重な食材だった)と聞き、好奇心の塊でできている私は、「これは食べなくては」と頭はアダンの芽のことでいっぱいになってしまいました。
沖縄では古くから、葉をゴザやかごに加工して利用されてきたアダン。見ためはパイナップルのよう。
当時モッタリした沖縄のてんぷらが苦手だったにもかかかわらず、早速アダンが屋号になっている食堂に乗り込みオリオンビールと待望のアダンの天ぷらを頼みました。
沖縄の気候にオリオンビールは本当に合います。あの生ぬるいような潮の香りがする風にふかれながら飲むオリオンビールは最高に美味しい!(札幌に行くとサッポロクラシックがとても美味しいと思うのは、やはり風土なのでしょうか。)
個人的には沖縄のオリオンビールに島ラッキョウは最高の組み合わせ!
アダンの芽の天ぷらは筍のような食感の香りが楽しい、美味しい天ぷらでした。
しばしお酒と肴を楽しんでいると、このお店の「おばー」が顔をだしてくれました。
現在お店は息子家族が切り盛りしているようでしたが、まだまだ現役!という感じでお店を手伝って(!?)いました。
おもむろに厨房にたち、なにやら揚げ物をしていたかと思うと、私のところにきてお皿をどんっとおき
「これは、ゴーヤのわたのてんぷらだよぉ。ゴーヤ、残すところなんてないさ。たくさんたべてよ。サービスサービス。」といいながら裏に戻っていってしまったのです。
この時お店のおばーには申し訳ないけど、てんぷら+てんぷら!?てんぷら食べたばかりなのにこれ以上どうしよう、、、正直に言ってちょっと迷惑とまで思ってしまいました(本当にゴメンナサイ、、涙)。
でもさすがは沖縄のおばぁ。そんなことは気にもとめていない様子なのです。
気にせず、おせっかいを焼いてくれる、てんぷらと同じくらいインパクトもサービスもボリューミー。
さすが厳しい時代を生き抜いた沖縄の女性です。
とにかく気を取り直しておばぁのゴーヤのわたてんぷらを食べてみました。ふわふわしていて、ほんのり甘味に塩気が絶妙!
頭はアダンからさっさとゴーヤに切り替わってしまいました。「ゴーヤのわた、最高!!」
帰るころ再びおばぁが店先にでてきました。「先ほどのゴーヤのわたのてんぷら、とても美味しかったです。」とお礼を言うと
ニコニコしながら、でも当然と言うように「そうだよ、美味しいよ、良かったよー」と言って送り出してくれました。
沖縄のおばーは最強!沖縄の守るべき宝
それからというもの沖縄のてんぷらのファンになってしまい、おばーイコールてんぷら名人と言う方程式が私の中でできあがってしまいました。
恐らく地元の方も、私のような観光客でも同じように思っている方は多いように感じます。
長年台所を預かってきて、満足に食材がなかった時も工夫をし大家族の胃袋を満たしてきたおばーの作る料理。
誰が食べても美味しいに違いありません。
ほわっとした優しい味のてんぷらは、お腹いっぱい食べて欲しいという気持ちがいっぱいで、その愛情たっぷりな味が美味しい秘訣、真似できないのかなーと思っています。
沖縄では家庭の中でおばーが一番の頂点で、おばーのいうことは正しくて、皆言うことを聞く、頭があがらないというイメージがあります。
沖縄の結婚式の披露宴での席次は、おばー(や家族)が一番目の前上座席なんですって。
(本州では一般的に上座は新郎新婦の会社の上役、血縁関係のあるものほど下座となります。)
孫の晴れ姿は目の前の席でということのようです。
食堂や市場に行くと沖縄のオバーが元気に働いています。
そんなオバーとゆんたく(会話)をしながら美味しい手料理を召し上がってみてはいかがでしょうか。